中国へ行くとなると、欠かせないのが通信規制のお話です。
ITに明るくない家族に説明したところ、なかなか伝わらなかったので、分からない人でも分かるように書いてみようと思います。
中国の通信事情
前提として、中国政府は金盾(きんじゅん)とよばれるグレートファイアウォールで、国内の情報を統制しています。中国にとって都合の悪い情報・発言はもちろん、YoutubeやLINE、twitterなど、海外製(※中国から見た海外)アプリ・コンテンツは、そもそも閲覧できません。Google検索、Yahoo検索…これらも使用できません。
しかし別に中国人は不便してません。人口が多い中国では、例えばGoogleに代わるアプリ、LINEやInstagramにかわるSNSがあります。Instagramの代わりはtiktokかな?
何なら「上位互換か?」ってくらい、便利なアプリもあります。
中国人同士であれば、それらを使用すれば普通に生活ができます。海外のゲームをやりたい!ってなると話は別ですが。
私のグレートファイアウォールのイメージはこんな感じです。

中からも外からも越えられない、見えない壁(オレンジ)があるんですね。
横から見たら高い壁…漫画好きなら進撃の巨人で伝わるかも。
まあ、実際ネットワークってこういう風に飛んでいるわけじゃないと思うんだけど、理解としてはこれでOK。
VPNって?
中国人に不便はなくても、普通はLINEもYoutubeも使えないなんて不便ですよね。
そこで、VPNというネットワークを使用します。VPNとは「Virtual Private Network(仮想プライベートネットワーク)」の頭文字をとった略語です。ネットワークは暗号化されて隠されており、公共のネットワークを経由しません。
基本的にVPNを利用する際は、VPNを提供している会社にお金を払って契約します。WiFiのサブスク版みたいなものだと思ってください。中国ではそもそも規制されており契約できないので、日本で契約しておくのがいいです。
VPNを使うとこんな感じ。

中国から日本まで、壁をジャンプしたり、ステルスで通り抜けたりする感じの直通トンネル(青)を作ります。
このトンネルの使用料をサブスクで支払って、日本のネットワークに接続します。
進撃の巨人みたいに壁をぶち破るイメージでも良かったんですが、ぶち抜いたら政府にバレちゃうし、そもそもぶち抜けるほど脆いやつじゃないので(笑)
とにかくこんなイメージで、日本までのプライベートネットワークを構築し、バレないようにしっかり暗号化して、暗号化で守られた回線を通って中国からアクセスする仕組みです。
国内のVPN
余談ですが、企業にお勤めなら社内ネットワークとか、学生なら学校内VPNとか、
家や公共のWi-Fiからアクセスできない回線を一度は使用したことがあるのではないでしょうか?
こういうのも、仮想ネットワークを構築し、暗号化して、許可された人間しかアクセスできないようにしたものです。IT企業なら自力で「仮想ネットワークを構築」できますが、他業種の企業はIT企業からVPNを買っていると思います。
VPNの豆知識
金盾とVPNの関係
脆弱な暗号を使用していたりすると、中国のような規制の厳しい国ではすぐに破られます。破られて規制されたら、トンネルは通行止めとなります。
破られたついでに情報を抜き取られるなんてこともあるので、無料のVPNは使用しないほうがいいです。
有料版でもしょっちゅう破られますが、情報漏洩しないように対策してるし、破られたらまたすぐ新しい暗号を作って対応します。こんな感じで金盾とVPNは、常に『いたちごっこ』しています。VPNの紹介サイトで安定してるとか、安定しないとかいってますが、あれば暗号の強度みたいなもののことです。
規制後しばらくしたら復活することがほとんどですが、1時間や2時間で直るわけありません。契約中のVPNが一時規制された時のために、サブで2つ目のVPNを契約している方が多いです。またアクセスが集中していて不安定になることもあるので、サブがあると完全ではないけど安心かなと思います。
VPN、Wi-Fi、キャリア通信の違い
これも混乱しやすい点です。簡単に書くとこんな感じ。
キャリア通信とはドコモとかauとかで契約する、『SIMカード』に付帯する契約です。
電話番号(090~、080~みたいなやつ)を使用した通話や、SMS(ショートメッセージサービス)、LTE回線(4G、5G等)などのことです。最近では使いませんが、キャリアメールもそうです。(@docomo~,@softbank~)
この違いが分からない人は、よく電気屋やauショップなどで言いくるめられ、無駄なプランやWi-Fiを契約させられたりします(笑)
Wi-Fiは、無線LANに接続することで、公共のネットに接続するものです。
Wi-Fiルータがある場所から一定範囲内の場所からのみ利用できます。ルータがあって、パスワードさえあれば誰でも利用できます。公共のインターネット通信となるので、悪意のある人に盗聴される危険があります。
なお、Wi-Fiに契約するだけでは電話番号を持てません。
VPNというのは、ネットワークのトンネルのイメージです。公共ネットワークではなく、暗号化されて保護されたプライベートネットワークのため、セキュリティ性が高いということになります。ただし無料のVPNに関しては、セキュリティ性に難ありです。
電話番号を持てないのはWi-Fiと同じですが、契約さえすれば、ルータなどの物理的な機材が無くても接続できます。トンネルを経由するので、必然的にWi-Fiよりも遅くなります。
キャリア通信の注意点
キャリア通信はお使いのスマホの『SIMカード』に付帯する契約です。
基本的に、国内で利用料を払っているはずです。海外から日本に電話したい場合は契約外となるため、特別な通信料がかかります。キャリアメール、SMSも受信するだけで通信料が発生します。国内で契約している電話かけ放題プランも対象外です。
お高いので、知らずに放っておくと受信料だけとられて大変です。海外に行ったら、日本の携帯電話番号を使わないほうがいいです。
うっかり海外使用料がかからないようにするための対策
中国に限らず、日本から海外旅行でスマホを持っていく場合は、SIMカードを抜いてしまうか、機内モードにしましょう。なおSIMカードを勝手に抜いてはいけない設定(SIMロック)になっているキャリアもあると思うので、自分で問い合わせて確認してください。
長期滞在の場合は、キャリアの電話番号保管サービス(有料)を利用するか、未練が無ければ解約しちゃうのが一般的です。私は一時帰国した際や、諸々の契約変更が面倒なので前者にしました。
LINEやZoomで通話することはできるのか?
国内でも、海外でも、アプリ内の通話機能での電話なら、電話料金に影響しません。Wi-Fi接続だけでも、使えるはずです。
LINEなどは電話番号に紐づけてアカウント作成するので誤解しやすいですが、本人確認のための紐づけなので、通話料金とは関係ないです。送金などのサービスを利用しなければ、電話番号と紐づけなくてもLINEアカウント作れます。
なお料金は気にしなくていいですが、インターネット通信量(データ量)は結構かかります。無制限プランの契約をしている回線を使ったほうがいいかと。
アプリ通話ではインターネット通信を使っているので、LTEやWi-Fiなど、インターネット回線には繋いでいる必要があります。中国のインターネット回線はLINEをブロックしているので、VPNが必要です。
注意:海外での電話番号認証
それから、LINEやgoogleメールなどで何らかの拍子にログアウトしてしまい、海外から再ログインする場合は注意です。たまに「電話番号認証」を求めてきたりします。
電話番号認証は、SMSに暗証番号が送られてくるアレですね。これは先述の通り、通信料がかかるので危険です。別の認証方法があればいいですが、少し面倒かと思います。
[検証]実際に契約して使ってみた感想
中国にはたくさんの外国人が住んでいるので、中国からの通信向けにVPNを提供する会社はたくさんありますが、それぞれ料金も特徴も違います。
実際に契約して使ってみた感想を以下の記事に書いていきます。随時更新したい所存…。
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